先日社長ブログでご紹介させていただきました。桐の長持ちのお届け写真と動画です。
先日のこれなんだ?のブログで、色んな方から答えをいただきましたが、正解は「長持ち」と言います。桐箪笥を作っている私どもなら当たり前に知っているのですが、世の中では死語になってきている事を実感いたしました。
桐箪笥もそうですが、ものすごい危機感がありますね。30年以上前までは、当たり前のように大きなお見合いの婚礼の場合は、和布団を上に飾り持参したものですが、今やお布団も和布団から洋布団、綿から羽毛に替わり長持ち自体も無くなってきました。
ただこの長持ちを探しておられた方が奈良でいらっしゃいました。
この押入れには長持ちが必要ですね。
押入れの意味も分かりますか?押入れとはこの様な和室の横にあるものを収納出来るスペースの事を押入れといいます。
この押入れに私どもの総桐の長持ちを置かせていただきました。
どこの家具店に電話しても、「もうそんな長持ちなんてありません。」「作れる工房も今ないですよ。」「うちでは取り扱っていません。」と断られまくられ、半ば諦めていたそうです。
そんな時に知り合いが私どもの桐箪笥のホームページを教えてくれて、連絡をいただきました。
もちろんやってます、ありますよ、とても喜んでいただいて制作させていただきました。長持ちは大きくて幅も1800mmあります。
奥行も深いし高さもあるのでお作りする職人は大変な作業になります。
その割に昔は桐箪笥に比べて価格はそれほど高くなくて、工房からしますとあまり作りたくないタンスなんです。それも長い桐材が必要になりますし、かんなをかけるにも一苦労します。端から端まで一気にカンナをかけないとカンナを止めてしまうと型がいくからです。重労働の作業で、大きな箱ものですからまわしたり、向きを変えたり作業が大変なのです。
だから今ではお作りする工房が無くなってきているのでしょうね。
長持ちの内部の下側にはこの様な穴をあけています。
長持ちの内部の上側にもこの様な穴をあけています。
この両方の穴は「突っ張り棒」というものを上下にはめるための穴です。まず下の穴にはめてから上の穴にはめますこうすることで、天板の下がりや長持ちの上に少しくらいの重いものを乗せてもらっても天板が下がらないようにするための「突っ張り棒」なんです。
これも昔の職人が考えた技法の1つなのです。「突っ張り棒」を取り外し出来る事でこの長持ちにお布団の出し入れや収納しやすくしているのです。
いつもこの仕事をさせていただいてて感心するのですが、昔の日本人は本当に賢いです。
そして引戸を左側と右側にはめると長持ちになります。
長持ちの中の小さな収納したものを取り出すにはこの様な左右に動く引戸のほうが便利が良い事も昔の日本人の知恵です。
それぞれ、家の道具としてこの様に紋を入れたりしました。この紋は五三桐と言う紋で女性の紋の中では多いご紋になります。
今ではこの様に桐の引き戸に紋を入れてくれる書き屋さんと言う方もいなくなってきて大変です。これも機械やシールではなく書き屋と言う職人さんが書いてくれるのです。
すこくいい総桐の長持ちをお届けさせていただきました、このような長持ちの納品事例はこれから先本当に少ない事例となるでしょうが、この日本 全国で長持ちを探されている方は是非 私どもにご相談していただければお作りさせていただきます。
この様に総桐で作られた長持ちは中のお布団や品物を湿気や虫からも守り長く長期にわたり保管できる最適な収納家具なのです。これは他の材料で作られたものでは守りきれません。
昔の日本人が考えた知恵がここにも生かされているのです。