「へぇー桐箪笥は、なおせんのか(なおすことができるのか)」
洗い替え修理のご依頼で古い桐箪笥をお客様宅から引き取っていた時に中年の男性から、「えらい古い箪笥やなぁ、ほかすのか(処分するのか)」と声かけられました。少し嫌な気分になりましたが、「これは桐箪笥なんで綺麗に再生するんです」と答えると、「へぇー桐箪笥は、なおせんのかー(なおすことができるのか)」と言う返事で、あーこれが今の現実かと思いました。年配の人でも桐箪笥が洗い修理をしてなおせる事をご存じありません。
私はこの仕事をしているのであたりまえだとおもっていますが、ほとんどの日本の人はもうこの事を知らないし、感心もないのが現実でしょうね。
桐箪笥は日本の伝統工芸品で本物の桐箪笥は貴重な収納家具になってしまいました。
中国産桐材や桐シート張りで作られた桐箪笥は洗い替え修理はできません。なぜなら中国産桐材は桐自体も柔らかく水分を吸った後乾燥させればすぐに割れたり反ります。また桐シート張りで作られた桐箪笥は濡らせばめくれたりはがれたりして、修理なんて出来ません。
そんな桐箪笥が今では市場では堂々と販売されています。
ひと昔前の桐箪笥は品質もよかったのに・・・・・・今では悲しい品物ばかりです。もっと日本の方が本物の桐箪笥の良さを知っていただかないと、もうこの仕事も段々と無くなってしまうような気がします。