職人言葉は難しい~大阪泉州桐箪笥~
こんにちは!
工房だよりです。
近年、若い職人さんに仕事を指導する中で
伝えたのに伝わってない、伝わらない。
そんな時、
そこにあるのは、言葉の問題。
私自身、ちょっとイライラしてしまい
「わかったんかぇ!!」と一言。
新人→「何言ってるか全然解らないです!」
と一発くらわされて目が覚めたことも。
覚えてしまえば何てことないのですが、
習い始めは仕方ありません。
道具の名前から作業や工程の名前、これに大阪府南部の泉州弁が
絡まってくると何とも理解不能な様子。
職人ことば、面白いもんです。
鉋の種類だけでも
スンパチ、スンロク、ナガダイ、シャクリ
のこぎりは
ドウズキ、ハッスン、アゼヒキ
箪笥各部名称でも
テンジョウ、セナカ、ジイタ、サヤ
イリカワ、ハリジ、ツカ、アキマ、などなど
聞きなれない言葉がたくさん出てきます。
特に、
作業動作においては
「これ1尺5寸にひいてきて。」
では、伝わりません。
「この材料を1尺5寸の長さでのこぎりで切断してきて。」です。
「このめんばりまいといて。」
では、伝わりません
「この面材を紐で巻くことによって貼りつけといて。」です。
日本ののこぎりはのこぎりを手前に引くことで切れるので、
切ることを”ひく”と言います。
そして、大阪泉州桐箪笥では化粧面材を紐で巻き付けることによって
接着するので、貼りつけることを”まく”、と言います。
動作が言葉になっている点、おもしろいですねぇ。
続いて、板と板を接着してつなぎ合わせることを
接ぐ(はぐ)と言います。
「これ、はいどいて。」
では、伝わりません。
「この板と板を接着しといて。」です。
決して、イライラして
「早よはげ!!」なんて言ってはいけませんね…。
あと、仕事を終えることを、
おく。
と言うのも好きです。
職人は道具を使って仕事をする
その道具を置くと仕事が終わる。
昔の職人さんや先代がよく
もうおけよー。
そろそろおこかー。
優しく声をかけてくれたのをよく思い出しますねぇ。
それでは今回の工房だより
この辺でおかせていただきます。