桐箪笥作りを支える道具達 鑿 (のみ)
こんにちは。職人の粟田です!
今回の工房だよりは
桐箪笥作りを支える道具達
鑿編です。
鑿!のみと読みます。
コチラが現在私の使っているノミ。
それぞれ刃の幅が違います。
刃幅1寸(30㎜)から1分(3㎜)まで合計7本
23年前、先代社長に一寸(イッスン)と6分(ロクブ)の2本のノミを買ってもらったのがはじまり。
ノミは木に穴を掘るための道具。
掘りたい穴もさまざま…。
一本づつ、一本づつ買い足していきました。
このラインナップに落ち着いたのは15年くらい前でしょうか。
ほとんどが兵庫県三木市で作られたノミです。
鍛冶屋さんの銘もいろいろ
正繁 高芝 黒田 大内
どれもその鍛冶職人の銘入り。プライドを感じますね。
私のこだわりはノミの形。
刃の甲の部分が山形になっている。
山形、三角形になってるのわかりますよね。
しのぎのみ、うめきのみと呼ばれる種類なんです。
大阪泉州桐箪笥と言えばやはりこちらのアリ組
このアリ組にはこだわりの鑿、が最適なんです。
そう、アリ組も三角だからノミも三角。
写真のように三角の端同士が干渉しない。
埋め木のみでない場合は
自分でノミの端っこを加工することもあります ↑
当然、切れ味も大切。
桐は非常に柔らかいので刃物が切れていないと
木の繊維がつぶれてしまう。
特にホゾを抜くときは必ず刃を研ぎます。
長年使っていくと
鉛筆が短くなってのと同じ要領で
ノミも当然短くなっていきます。
写真のようにだんだんと。
へっていく事を
職人言葉でちびって行くと言います。
一番右の鑿はもう使っていません。
私、職人歴23年、
ちびらした鑿はまだこの一本だけ
使わないけど捨てれないものです…。
これは名人、藤原さんの残していった鑿…。
この道60年…。
何か語り掛けてくるような道具です。
これも捨てられません。
はて?私は
あと何本鑿をちびらせるんかな…?
桐箪笥作りを支える道具達
こだわりの鑿のご紹介でした。