年の功には勝てません。
大阪岸和田の初音の桐たんす工房。
工房だよりです。
約2年前の工房だより、
、「伝統工芸士、粟田秀男が経済産業大臣表彰を受賞しました。」でもご紹介しました工房一のベテラン職人、粟田秀男さん。
社内では、「ひでさん」と呼ばれ親しまれています。
御年78歳! この道62年!!
近年は週3日ほど出勤してもらっておりましたが、さすがに最近は足腰も弱くなり、実は、昨年末で退職されています。
が、今でもたまに工房に顔を見せに来てくれます。
しかも、最近は気候がよくなったせいか、よく来てくれます。
秀さんの自宅は歩いても来れる距離にあります。
が、自転車で登場です。
「やってるか~」の声で入ってきます。
で、定位置のイスにちょこん。
「テレビの守りしちゃあーてもシャーないわ」←岸和田弁
とポツリ。
あと、なんと工房にはこの春から2人の新人が職人見習いとして入社してくれています!
秀さん、この2人にも興味津々です。
はじめは、黙って見ていたのですが、黙っていられません。
「ちゃうちゃう、これをこないして、シューっと」
直接指導が入ります。
今にも鉋を持ち出してシューっと実演の勢いです(汗)
ひとしきり、説明したら私のほうを向いて、
秀さん:「指導者はだれや」とニヤリ。
私:「ハイ、ちゃんと指導しときます」
私:「新人になんか一言、言うちゃって!」
秀さん:「んー…。わからん事あったら、何でも聞いたらええ。
何でも聞いたらええんや!」
さすが、大ベテラン、いい一言を言ってくれました。
人に何かを教わるときって聞きにくいものです。
怒られるんじゃないかとか、
そんな事も知らんのかと思われるとか…。
時には自分のプライドが邪魔したり...。
いろいろ考えてしまいますよねぇ~。
対して、
教える側、つまり聞かれる私もそう。
切羽詰まった時だけじゃなく細かなことでも積極的に聞ける
なんでも聞ける、聞きやすい雰囲気も心がけておかないといけませんね。
日々、自分の至らなさ、未熟さに反省をしております。
新人の為に言ってもらった一言のはずが、
なぜか私の胸に突き刺さってきました。
深イイ言葉を残していったあとは、
「やってるか~」っと、各所を巡回です。
一通り巡回が終了したら、
「またくるわよ―。」
で帰って行きました。
秀さん、いつまでもご元気で、ご指導のほど、
よろしくお願いいたします!!