桐たんすの精巧なる図面 PerⅡ
こんにちわ。工房だよりです。
今回は、前々回の「桐たんすの精巧なる図面」の
その続編と言いましょうか、
あの図面を受け取った職人は、
実際にどう進めるのかのお話をさせていただきます。
そうです!このラフな図面を渡されて、
職人がまず第一にすることが、
杖を作ることです。
これです。
うちでは、職人言葉で、“つえをもる” と言います。
木の棒にたんすの縦方向の動きを書き出す。作業です。
実際に完成したたんすの横に持ってくるとこんな感じです。
引出し、タナ、引出し、タナ、引出し、天板と
この杖を元に、木取りの作業などでは、
背板、や胴板などの各部材が実際とれだけの長さ必要かが
分かるようになるわけです!
また、木地作りの作業では、たんすに重ね目のある場合、
ここで切断すると言うことも、この杖が基準となります。
同じたんすのように見えても、
台輪や引出しの深さ高さが違っていたりするので。
たんすを作る初期の作業において、あらゆる基準となり、
この杖は欠かせない物です。
この杖を保存しておけば、1年後、5年後となっても
同じ物が出来るということになります。
ですので結構、杖がたまっってきます。
何十年も前の杖も残っています。
古い物を見つけるとしばし見入ってしまうことも…。
こんなんも作ってたんやー、と。歴史を感じます。
あと、うちでは、つえ と呼びますが、工房によっては、
盛り付け棒、ばか棒などと呼び方もさまざまあるようです。
大工さんも使うみたいですし、家の杖、一度見たいものです。
その辺も興味深いところですね。
最後、少し話しそれましたが、
職人は、杖がないと前に進めない、というお話でした。