こだわりの桐箪笥の社長ブログ 先日ご紹介した日本の宝物の最高級の古い桐の和棚の道具についてのご説明をします。
先日ご紹介させていただいた素晴らしい和棚の洗い修理のご依頼について、どれだけ素晴らしい和棚であるのかを皆様にお伝えさせていただきます。
まず 右上の引き戸をご覧ください。
引戸自体がカーブしています。なかなか出来ない技です。
わたしも何十年とこの桐のお仕事をさせていただいていますが、
このようなカーブをつけた和棚を見るのは初めてです。
このように作られています。素晴らしいでしょう。
その当時の最高の技術を持った職人の仕事です。
その引戸自体に、螺鈿(らでん)の蒔絵が施されています。
その螺鈿(らでん)自体も上品な高度な技の蒔絵職人によって描かれています。
素晴らしいです。!
反対側の彫刻も菱をデザインした凝った彫刻です。
素晴らしい!
面ばりには、見えずらいですが、二本の紫檀材を細く埋め込んでいるのです。
今回はその部分については復元いたしません。
開き戸の両方には、左戸には、
鶴の螺鈿が、
右戸には、松の螺鈿だ施されています。
素晴らしいです。
金具も上品な松葉をデザインした、手彫の最高級の金具が付けられています。
また桔梗の鍵座も手づくりの鍵座です。素晴らしいです。
80年から90年前の最高の桐の技術をもった職人技を凝縮した桐の和棚です。
和棚の内部もこの様に凝った仕込みがされています。
上品な丸お盆で、左側は引出しで、二か所にまた桔梗の鍵座が取付られています。
今までたくさんのお道具の中でも最高峰の桐のお道具です。
2つ目の棚も素晴らしくて、こちらも前の面張りに二本の紫檀材を細く埋め込んいます。
わざと天丸の段さのある作りもその当時の粋な職人の遊び心のある桐の和棚です。
組み上げるのに相当の技術が必要になります。
また2つとも組手の細かさも特徴で最高峰の和棚ならでわです。
引出しの金具も同じ松葉をデザインした手彫り金具です。
今ではもうお作りする事は不可能です。
扉のつまみ金具も手打ちの上品なびら金具が付けられています。
この和棚は先ほどの和棚とは違う考えでその当時の職人のこだわりの遊び心でお作りされたように感じます。
こちらは、シンプルな中に職人の技術を表した和棚です。
扉にも兆番の金具をわざと採用しないで、扉の上下を桐のピンで留める技を採用いたしております。
2つの違う匠の技術をこのお作りした職人が表現したかった事が、私は感じとれます。
この扉の付け方は本体の部分を少し丸くけずり取らなければこの戸は取付られません。
この技術もこだわりの技法になります。
また 足元も巻足と言う最高級の桐箪笥の仕様の台の仕方にデザインされています。
その当時の職人の凄さを感じます。
私どもの職人なら今でもなんとか同じ和棚を時間をかければ再現できますが、金具や螺鈿は再現できないかもしれません。
でもかなりの時間と費用がかかります。今 同じものをお作り出来てもこんなに小さな和棚でも
200万円以上の価格になるかもしれません。
全国でも同じ和棚をお作り出来る工房と職人がいるのは、
私ども田中家具製作所だけかもしれません。
今回 洗い修理のご依頼本当にありがとうございました。
このような仕事の和棚に出会えて本当に嬉しいです。
最高級の桐の仕事を施された和棚たちです。
この和棚を手直し出来る事は職人冥利に尽きます。
本当に古い桐箪笥は日本の宝物です。
古いからと言って絶対に簡単に処分しないでほしいです。
今のたくさん流通しているまがい物の桐箪笥情けないですねそれにくらべ、
昔の日本の職人の腕は凄かったですね。