こだわりの桐箪笥の社長ブログ その荷出しの前に・・・ひとこと!
先日の社長ブログで荷だしの用意をご紹介しましたが、そのお荷だしを紹介させていただく前に・・・
荷だしは、ご結婚なさる両家にとってもすごく重要な行事でその家具店の荷だしの仕方によってその日の思い出が違ってくるのです。
家具店にとっては、もっとも重要な仕事になります。昔から荷だしをきちんと出来ないような家具店は必ずと言っていいほど、潰れていきました。
なぜなら自社配送をしない運送会社任せの家具店は当日の段取りや時間もルーズで飾る為の家具の積み方も適当で、お客様からのクレームが絶えませんでした。
特にお天気の悪い雨天の対応はその家具店の評判を必ず左右する事になります。
運ぶ途中に家具に傷を付けたり、家具を汚したりと、・・・・
私ども家具店は「お荷だし」が最も重要な仕事と言えます。
荷だしは本当に神経の使う仕事で、失敗は許されません、スタッフが集合時間にちゃんと集合できるのか、タイムスケジュール通りに作業が運ぶのか、綺麗にバランス良く積めるのか、など荷だしの家具屋の責任者として前日の夜からも明日の荷だしの事で眠れない事もありました。
亡き父からも「お客様にとって大切な結婚式前の行事で、その荷だしをきちんとさせていただく事が家具店の使命なんだよ」と小さい頃からその大切さを叩き込まれました。
昔は大き荷だしの場合トラックが3台か5台使い、
長持ち歌を歌いながらのお荷だしをおこなったほどです。
荷だしをきちんと出来る家具店は、大阪では
ありとあらゆるすべての面で仕事がしっかり出来る家具店の証だったのです。
お客様から何十年も経ってからも忘れずに来店してくれて、
「あの時 お世話になって、本当にありがとう、今ではいい思い出になったわ、もう孫25歳になったよ また嫁にいくとき、あんたとこで買うわ」と言ってくれると、最高に有難く!
家具屋続けてよかったなと、・・・・涙・・・・・です。
今ではその荷だしの風習も大型家具店の台頭で簡素化をする風潮になり、お客様も準備が大変で親戚にもお手伝いしていただかなくてはならないし、たくさんの費用がかかるために、最近では婚礼の家具も紅白しないで、家具店から新居に直接運びこむ、直送という形が主流になりました。昔は結納金は道具代金とも言われた時代でした。
関西では婚礼家具の代表はなんといっても桐箪笥でした。荷見せ(荷だしの前までその道具を家で親戚やご近所の方に見ていただく事)やお荷だしを行うことで、たくさんの方にその桐箪笥を見てもらう事で、大阪泉州桐箪笥の品質と職人の技術が向上したのです。
「他に負けない品質の桐箪笥を作る!」これが私どもの工房の精神です。
このような風習が関西で長く続いてきたお蔭で、今でも大阪泉州桐箪笥が昔ながらの最もこだわった桐箪笥として認識されている大きな理由なのです。
しかし関西でも冠婚葬祭の風習は大きく変化しました。
でもその思いは、今でも私どものベテランの職人心に刻まれています。その思いを若い職人にも伝えていかなければなりません。
それも私の役目です。