こだわりの桐たんすの社長ブログ 松山家具(桐の松山)製の蒔絵入り(絵入り)桐箪笥の洗い修理ですが、この桐箪笥がなぜ最高級の桐たんすなのかを、ご説明させていただきます。
お墓の花はとられましたが、
今回から気分を切り替えて字体の大きさも替えて頑張ります。
先日 ブログでご紹介させていただいた松山家具(桐の松山)製の蒔絵入り(絵入り)桐箪笥の洗い修理ですが、この桐箪笥がなぜ最高級の桐たんすなのかを、ご説明させていただきます。
だれが見てもよさそうだと思いますが、桐箪笥の職人からみれば、桐箪笥を見極めるみかたが違うのです。
まずこの上戸の引き戸に描かれた蒔絵ですが、
見事な生地蒔絵です。もちろん京都で書かれた京蒔絵です。(図案をみればわかります。)
この蒔絵は扉全体につながっています、そして私が関心したのは、戸びらの横(側面)まで蒔絵がつながっている事なのです。
ここまで手の凝った蒔絵は最近の桐箪笥の蒔絵でもなかなかありません。
戸の側面まで蒔絵が入れられて1つの絵柄になっているのです。
またこの蒔絵がなぜすごいのかといいますと、これは、桐箪笥本体の生地が完全に出来上がってからでないと、引き戸に蒔絵を書いてもらえません、(蒔絵を入れると後から戸をけずれないからです)桐たんす自体を完成させてから、上戸を蒔絵に出します。そして2ヶ月から3ヶ月の期間が必要になります。
ですからお作りするには最低半年以上 場合によっては、
約1年弱の時間がかかる桐箪笥なのです。
最近の桐箪笥にこれだけの蒔絵を入れる桐箪笥の工房はないでしょうね。
これだけの蒔絵を削って洗う業者がいるなんて信じられませんね。
この蒔絵だけで小さな桐箪笥が1棹購入できますよ。
そしてこの桐箪笥の意匠(デザイン)が優れています。
桐たんすの開き戸も凝っていて、まず左の扉を開けます。
そうするとこの様にお盆の半分がみえます。
右側の扉を開くと小さなお盆の全体が見えます。
このい右側には、帯を納めるようになっている小さなお盆を入れているのです。
右がわの戸は開けると右のお盆が前に出せます。
でも幅の広い大きなお盆はどうすれば出せれるかと言いますと、真ん中の戸が右側に
スライド出来る引戸になっているのです。
真ん中の戸をスライドさせてお盆を出せるようにする技法などは、
昔から上戸に良く使った技です。
こうすることで、幅の大きなお盆を引き出せるように考えられいるのです。
これは、幅の広い間箪笥のデザイン(意匠)を左右対称でバランスよくするために考えられた素晴らしい優れた桐箪笥職人の技法なのです。すごいでしょう!
この様にバランスのとれたデザインにしています。
また上の蒔絵の絵を引き立てるために、扉の金具もすごくシンプルなあずまビラと言う金具を採用しているのも松山の桐箪笥のすごく粋なはからいで、出来るだけ蒔絵をじゃましないように考えられた作られたいい桐箪笥ならではなのです。
桐箪笥の内部も
扉をあけたお盆とお盆の間に21mmの厚みの固定の中棚がご覧いただけます。
これも手作りのいい職人が作った桐箪笥だけに施されている技術で、
桐箪笥に強度を持たせる重要な棚なのです。いい桐箪笥にはなくてはならないものです。
兆番金具も良くご覧ください。桐箪笥の本体と戸びらの両方にのみで埋め込まれている事がご覧いただけます。
これも職人技の金具の取り付け方で、本当にいい桐箪笥だけにしか施されてない両欠き込み技法の(両彫り)桐たんすです。
両方を埋め込む事で何百年使っても戸びらが上下にずれないで、しっかりと使えるように考えられた技法なのです。このような戸の取り付け方をしているのは、いい桐箪笥だけです。私どもの桐箪笥はこの様な昔の伝統を引き継がせていますが、
この金具の付け方が出来る本物の工房は少なくなっています。
この金具の付け方は、多くの時間がかかり、生産効率が悪く、技術をもった職人でしか出来ません。私どもはこの桐箪笥の伝統技法を無くしてはならない為に今でも 私どもの全ての桐たんすにはこの両彫り(両欠き込み)の技法を守って、桐箪笥をお作りしています。
桐箪笥のそと側から見ていただくと、兆番の金具の真ん中に戸と本体の隙間の上下の線がご覧いただけます、本物のいい桐箪笥はすべてこの様に金具の真ん中に上下の線がきます。
桐の箪笥を選ぶ時はこのような桐箪笥を選らばなけれはなりません。
昔ながらのいい桐箪笥はすべてこの様になっています。
見栄えが良く見えますが手抜きされた桐箪笥は、このようには作られていません。
上下の線が左の戸の金具は左側に、右の扉の戸は右側によっています。
皆さん是非覚えておいてください。すごく重要な事です。
そのような桐箪笥は伝統工芸証紙が付いていても選んではいけません。
戸びらの金具の付け方を手抜きしている桐箪笥は一般の方が分からない部分や見えない部分にも必ず安価な桐材(中国桐)や張り合わされた桐材が使用されており、ありとあらゆる箇所を手抜きされた桐箪笥が多く見受けられます。
このように戸を開けて見ると、いい桐箪笥かそうではない桐箪笥かすぐに見極めがつきます。
さすが松山の桐箪笥はいい箪笥です。
下台と中台の重ねてる部分も側面の板が無垢の桐材で、組手もこの様にご覧いただけます。
引出しの底板の桐材も杢の大きな中心部分がある幅の広い底板を接合しています。
だから何十年と経った今でも底板が割れてないでしょう。
これもすごく大切ないい桐箪笥を見極めれるポイントで、必ず幅の広い
中心部分(杢)のある幅の広い底板が使われているかチェックしてください。
このような桐材は乾燥に強くて、何百年も使っていただいても桐板が割れる事が少ないいいこだわりの桐箪笥の特徴です。
私どもの桐たんすもこの様にお作りしています。
もっともっと、いい桐箪笥の条件についてどこを見て判断するのかをお伝えしたい事が沢山ありますが、最後に、高級な桐箪笥は下の写真のように引出しと引出しとの間の棚が引出しと同じでフラット(たいら)になっています。
この棚の事を専門用語でべた棚(フラットな棚)と言い、最高の桐箪笥はすべてこのような棚になっています。
その理由は、引出しの隙間が良く見えるので、職人の削る技術の高さが要求される事、そして引出しと棚の柾目の桐が同じように揃えないとこのようなべた面を表現する事が出来ない為に、すごく木取りが難しくなるのです。
また 引出しを職人が仕込む際に左右 上下の調整がごまかしが効かないために高度な職人技が必要となります。引出しと本体のわずかな出っ張りもすぐに分かってしまうので、このようなべた棚で作り上げれる桐箪笥は高度な技術を持った職人でしかお作り出来ない桐箪笥なのです。
昔の桐箪笥からすごく学べる事が出来ます。皆さんは桐箪笥なんてどれも同じだと勘違いされているでしょう。
伝統工芸の証紙(シール)がついていたり作った作者の名前が箪笥に書いていたり、貼っていたりすれば、いい箪笥だと思われているでしょうが、
そうではないのです。
このような見方で桐箪笥を見極めれる目を持っていただかないと、必ず業者にだまされます。
松山の桐箪笥はこのシールだけでこんなにも素晴らしい桐箪笥です。
このような桐箪笥は日本の和家具の桐箪笥の見本となる最高技術の桐たんすです。
私どもの、初音の桐箪笥はこういう松山の桐箪笥と同じレベルの桐箪笥を目指していますし、それ以上の技術、技法を今に受け継いでいる唯一の工房だと自負致しています。
こんな工房が1つでも日本にないとあかん(大阪弁)と思って日々戦っております。
ブログをご覧の皆さん是非私どもの桐箪笥を岸和田のショールームでご覧いただければ有難いですね。
ブログを書いているとすぐ桐箪笥に対しての熱い思いがこみ上げてきて、過激な表現になったりしますが申し訳ございません。
これからこの最高級の松山家具の桐箪笥の洗い 修理の工程をご紹介させていただきますね。