こだわり桐箪笥の社長ブログ 私どもの社歴を感じる事が出来て・・・涙が・・・
昭和60年にお買い上げいただいた、豊中市のM様より鏡台の鏡かけを新しく作ってほしいと依頼がございまして、お作りするためにM様のご自宅を訪問させていただきました。
そこで本当に感動させられました。
拝見するとなんといい家具を私どもでご購入されていました。
今ではお作りする事のできないチーク材を使った工芸品的な洋家具で、私どもがオリジナルでその当時の家具職人に頼んで作っていただいていた作品です。
鏡かけを作るのには、型(紙型)を取らないとお作り出来ません、まず鏡の部分を台から慎重に抜いてから紙の上に鏡を載せて、ペンで型をとるのです。
工芸品の鏡で、上部には、手彫りの彫刻が付いています。私どもでその当時沢山お作りさせていただいた高級な洋家具なのです。
本当に素晴らしい仕事をさせていただいた鏡台です。
丁寧に型をとっていきます。かぶりしろ(後ろ側)も良く考えながら型をとります。
この作業自体今のニトリやイケアやナフコの家具販売員なら出来ない作業でしょうね。
前の鏡掛けが掛かっていた、当時のお写真を見せていただきました。
今回もこれと同じようにお作りして欲しいとご依頼をいただきました。名前も染め抜きさせていただいています。
一緒にご購入いただきました、家具のお写真も拝見させていただきました、この様に思い出のお写真を撮って、アルバムを保管していただいている事は本当に有難いです。
私どもの社歴を感じて、父親や叔父さんが頑張ってくれていた時代を感じずにはおられません。
これが私どもの社歴です。最後にお客様から「本当にいい家具を作っていただいて、今でも大事にしていますよ。」とおっしゃっていただきました。
厳しい時代ですが、この仕事を続けていて、本当に良かったなって思いました。
今はクローゼットなどで、「家具なんて要らん」と言われるかたが沢山おられますが、
いい家具には、人の思いが必ず宿るのです。
家具はそういうものなのです。使い捨ての安価な家具ばかりが今宣伝されていますが、必ず最後に残るのは、本物の伝統工芸の桐箪笥だと信じてお仕事をさせていただいています。
お客様がその当時の領収証を一緒に保管されていたので、見せてくれました。
私の亡くなった父の筆跡です。なぜか、心にこみ上げてくるものがあり、涙がでました。・・・・・
昭和60年8月23日の日付です。電話番号も住所も前の古い店舗でした。・・・
今から32年前にご購入いただいたのですね・・・・
私はまだ学生でした。父や母 それと一緒に働いてくれていたみんながいてくれたからこそ
今があるんだなと・・・・・・
この仕事は本当に厳しい仕事です、こだわりを持った変人でなければ続けていけません。
なにが大切で自分の考え方を貫いていかなければ時代の流行に巻き込まれます。
祖父や父から教えられた事を守り、自分の信じた道をつき進む事しか出来ませんが、
なんとか続けてこれたのも、それを支持してくれるお客様のお蔭です。
その事がいつも本当にありがたく思います。今回もM様からすごく元気をいただきました。
この様に鏡かけの型紙をとる事も、後に続く方のために、ブログに残しておきますね。
私どもの箪笥がこのようにお客様に愛されてお使いお使いいただけている事が本当に仕事の糧(励み)になります。
M様ご連絡をいただけて、本当にありがとうございます。
本当に小さな工房ですが、いつまでもこの様な心が宿る家具をお作り出来る様、さらに頑固なこだわりで頑張ります。