こだわり桐箪笥の社長ブログ ㈱田中具製作所の歴史を感じられた写真!
本日のブログは、先日 和泉市のM様へ、桐箪笥の納品に伺った時に30年前に㈱田中家具製作所で婚礼家具を買っていただて、お荷出しをさせていただいている貴重なお写真を見せてもらいました。
お客様のご自宅でこのような貴重なお写真を見せていただく事は初めてです。
アルバムを拝見させていただきますと、なんとその頃の、㈱田中家具製作所の荷出しの写真です。トラックの横の幕に田中家具の名前が染め抜かれています。
今は、初音の家具という名前とマークが染められている幕ですが、その当時は、田中家具だったんですね、懐かしいお写真です。わたしもその当時はお荷出しが多くて中学生頃から、家の仕事のお手伝いさせていただきました。
お荷出しに行くと、ご祝儀がいただけるので大変うれしかった事を覚えています。
お荷出しとは、「結婚する日の2~3週間くらい前の良い日(六曜)に、お嫁に行くお家から家具を先方様にお届けする行事のことです。その時には、荷宰領さんをたてて、荷物目録を持参してお届けします。」 お荷物を出されるお家は、その1ヶ月前ぐらいに実家に家具を入れさせていただいて、タンスの中に着物や衣類を入れていただいてから お荷だしします。その間に親戚の方や近所の方が箪笥や着物を見にこられます。その事を「荷見せ」ともいい、泉州地域の風習でした。
こうする事で、いい箪笥をお選びいただて、泉州の家具の価値や製品に対する技術が向上したのです。
楢材でお作りした洋たんすの和タンスや整理たんす お揃いの鏡台がご覧いただけます。
積み方もこうして家具が良く見えるように、トラックに積むのも家具店のやり方がございます。
こちらのお写真は、家で家具を飾られてた時のお写真です。
お荷だしの当日は、近所の方や親戚の方や友人の方がお手伝いしていただいて、運んでくれます。このようにたくさんの方の協力によって、時間内に作業を終える事ができます。
家具だけでなくて、お写真をご覧いただければ、長持ちにどんすのお布団を積ませていただいて、長持ち歌を歌いながらお家からだす様子が写っています。
私も長持ち歌を父からや叔父さんから教えていただいて、近所の方や親戚の方が歌う人がおらない時は、恥ずかしながら歌わせていただきました。
電気製品のお座布団も・・・そしてお車もお荷物として持参されたのです。
大阪泉州地域の日本の婚礼の文化がここにございます。
お荷だしは、先方宅へすべて運び届けて終えるのに、午前中の11時半ごろまでに終えなければなりません。先方のお宅では、それから仕出し(食事)を用意してくれてまして、荷物をはこんでくれたご親戚さんや友人をおもてなししてくれます。
私たち家具屋も食事をいただく事がございます。
懐かしいですね。美味しい料理をご祝儀と一緒にいただいて本当に家具店ていいお仕事やなって、こどもの頃から思いました。
当時はこのように泉州では、ほとんどのご家庭がお荷だしをしたのです。
大安や先勝 友引の日曜日は、1日で何軒ものお客様のお荷だしがあり、トラックの台数の確保や、人の確保に苦労しました。
お天気が悪い日など、濡らしてはいけないので、前の晩から荷だしの事が気になって、寝れません。なんども目がさめたことを思いだします。
今では、このような風習もなくなり、家具店からの直送が主流になりましたが、
この時代の婚礼の各種行事は、みんなでお祝いして、みんなで助け合って、親戚の結びつきや近所付き合いの大切さなど、人と人のつながりの有難さや人情味が感じられた良き時代だったと思います。
お客様に貴重な昔の弊社の荷だしのお写真をあらためて見せていただいきまして、本当に有難く存じます。
その時に働いてくれていた人や、お世話になった方すべての人に助けていただいて、今の会社を続けてこれたんだなぁとしみじみ感じます。
これから先 時代も人も変わっていくけど、出来る限り 本物の桐箪笥を作り続けていきたいと思っています。