桐箪笥のプロは、桐箪笥の品質を、どこを見れば判断出来るのかをお話させていただきます。
私のような桐箪笥の良さを判断出来るプロはもうだんだんといなくなってきました。私どもの職人や一部の桐箪笥職人だけですね。
それだけいい桐箪笥が無くなってしまい、偽物の桐箪笥だらけになってしまったからです。
では今日は桐箪笥の品質を、どこを見れば判断出来るのかをお話させていただきます。
とても大事なお話で、だれも教えてくれませんが是非皆さんに知って欲しいお話です。
あえて100年以上前の古い桐箪笥を例にご説明させていただきます。
戸びら付きの桐箪笥、どこを見るかといいますと外部から戸びらを付けている金具の付け方をみてください。
よく見てください、下の金具の厚み、戸と本体の両方の真ん中にありませんか!
とても分かりにくいかもしれませんが、とても重要な見極め方です。
よくみてください。そう、真ん中にありますよね、これが昔から最高の品質の桐箪笥だけが持っている金具の付け方で、両欠き込みの技法といいます。
戸をあければその付け方が良くわかります。
金具(蝶番金具)を良く見てください。本体(右側)も戸(左側)も金具(蝶番金具)が埋め込まれて取り付けられています。
桐の木の中に両方とも金具がはまり込んでいるでしょう。
このような桐箪笥はとても貴重な桐箪笥で、桐箪笥自体の品質の高さを最も証明する1つです。
是非この事を覚えておいてください。
このように蝶番金具を両方埋め込んで取り付けられている桐箪笥は今でも偽物はありません。
今販売されている桐箪笥はこのように両方埋め込まれて取り付けされていない桐箪笥ばかりです。
それが何を意味しているかお気づきでしょう。とても悲しい現実です。
一度皆様の桐箪笥を見ていただければいかかでしょうか。
また取り付けられている金具が素晴らしいです。手づくりの金具です。
今では手に入らない貴重な細工です。
昔の金具職人さん素晴らしいですね。
今でもいい職人がおられたのですが、どんどん廃業されていて、これからはいい金具さえお作りできない時代になります。
上品で粋な金具です。シンプルですが桐箪笥の柾目の良さを引き出すデザインです。
昔の日本人の粋な生活を感じれる金具です。
今はニトリや大型家具店の台頭で、本物の家具専門店がなくなってしまい。日本、日本人の和家具の桐箪笥に関する考え方を大きく変えてしまいました。とても残念で悔しいです。
もう1つの見方ですが、桐箪笥の引出し内部のそこ板の部分をご覧ください。
いい桐箪笥はこのように桐の中心部分でモクと呼ばれる山形の部分が使われています。
粗悪な桐箪笥は縦の杢目だらけです。最高級の桐箪笥だけがこのように中心部分の場所を使用するのです。
理由は縦ばかりですと、長年使うと桐板が割れるのです。このように中心部分のモクを使うのは桐材のモクの部分は一番柔らかい場所で縦の柾の部分は硬い場所になります。この柔らかい場所をあえて使用する事で何百年もの間、使用しても桐板が割れにくい桐箪笥になるように400年以上の経験から昔の日本の桐箪笥職人が考えた桐の木の使い方なのです。
ですから桐箪笥の引出しのそこの板にはいい箪笥は必ずモクを使用しています。品質の悪い桐箪笥は縦の杢目ばかりの桐板で作られています。
この事も是非知ってください。
まだまだいい桐箪笥を見極める見方はたくさんありますが、この3つを覚えていただければ、今売られている桐箪笥の品質の良し悪しを判断できます。この事を多くの日本人が本当に知って欲しいと願うばかりです。
私どもの大阪泉州桐箪笥、初音の桐箪笥はすべて400年以上の伝統の技術を受け継いでいる事も知ってください。