桐たんすのマイスターがお話しします。「桐の特徴について」本物の桐たんすは最も気密性に優れています。
前回は「桐とは」についてお話しさせていただきましたが、その桐には、桐たんすだけしか持ってない特徴がございます。
それは、まず本物の職人の桐箪笥は、気密性に最も優れていると言う事です。
桐たんすほど気密性をもたせた箪笥は他にはございません。
この様に3つの引出しの回りも全く隙間がない事がご覧いただけるとおもいます。
いい桐箪笥(本物)は、1つの引出しを入れれば別の引出しが開いてきます。開け閉めがしにくいかもしれませんが、
この様に気密性が高い桐箪笥が私どもが目指している最も良いこだわりの桐箪笥なのです。
その気密性は気候や天気によっても変わっていきますが、桐たんすの職人にとっては、引出しの調子を見る上では一番重要な作業の一つです。
桐たんすの桐は木材としては柔らかく一般的に良く加工しやすいと言われていますが、
実は全くそうではなくて、すごく加工(調節)が最も難しい木材が桐材なのです。
柔らかい材料ほど良くカンナの刃を砥石で研がなくてはなりません。
桐箪笥を作るには、これだけたくさんの鉋(カンナ)を使分けて職人が桐箪笥を作りあげるのです。
またこれだけの多くの砥石を使い分けて研いでいきます。時間もかかり何回も研がなくてはなりません。桐箪笥の職人だけの根気のいるこだわりの作業です。でもそれが桐箪笥の職人の誇れる技です。
使う鉋(カンナ)の刃を良く研いでなければ、やわらかな桐材に薄くカンナをかけれません。
もちろん鉋(カンナ)の台の調節も大切です。
これは大工さんも木の仕事をされている方なら皆さん分かっていただけると思います。
こうする作業により このように桐を薄く削れる鉋(かんな)になります。気持ちいいほど薄く削れます。さすが桐箪笥の職人です。
熟練の大工さんでも桐のような柔らかい材料を丁寧に調節して削っていく作業はやりにくく、
ほんまもんの桐箪笥の職人だけが持つ凄い技術なのですよ。
このような作業でお作りされた気密性のある桐箪笥に収納されるお着物は何十年何百年と守る事ができます。
でも現在では、作業効率や利益率など追及する工房ばかりで、この様な作業を簡素化している工房や職人さんが多くなってきました。
でも私どもは、なんとかしてもこの技術を残していきたいと、粗悪な桐箪笥をお作りしている会社といつも戦っています。(価格で負けそうになりますが・・・)ほんまもんの職人の思いをお伝えたいです。
今売られている桐箪笥で引出しや扉に大きな隙間があるような桐箪笥は、日本製ではなくすべて中国や海外で作られた偽桐箪笥と呼ばれるものです。(表示だけ日本製)
そのような桐箪笥は桐の役目を果たさないものだと皆様が知っていただければ幸いです。